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医療法改正による広告規制と、限定解除の考え方

2017年医療法改正(第8次医療法改正)で話題になったのは、
ホームページが広告として取り扱われるようになったことです。

医療機関の広告は、掲載可能項目が決まっており、それ以外については記載してはいけないことになっています。
ただ、ホームページを、テレビCMや看板と同じように13つの掲載可能項目(ポジティブリスト)だけに限定してしまうと、情報が制限されすぎてしまいます。
もともと医療法で広告規制をする目的となっている「医療を受ける者の適切な選択の支援・利益の保護」につながらないのではないか…ということで、「限定解除」という考え方が生まれました。

この限定解除のおかげで、一般的なクリニック/歯科医院さんであれば、特に今回の広告規制に対して神経質になる必要はあまりありません。

医療広告の限定解除とは

要件を全て満たす場合には、広告可能な表現の範囲を超えて、記載することができますよ、という考え方です。

ただ、この要件が意外とゆるくて、
1.一般的なクリニックのホームページで(患者等が自ら求め、入手する情報を表示)
2.わかりやすく電話番号/メールアドレスが書いてあれば(問い合わせの記載あり)
の2つでOKです。

クリニックであれば問い合わせ先として、わかりやしうところに電話番号を必ず書きますので、普通のクリニックのホームページでであれば、基本的にはすべてOKと考えられます。

結果としては、医療法の改正で、あまり神経質にならなくても大丈夫、ということだと思います。

自費診療に関しては、限定解除の要件が厳しい

もともと2014年に美容医療サービスについての消費者トラブル相談件数が2600件以上になったことから、ホームページでの情報提供に規制をかけようとなりました。
そのため、自費診療について掲載し、一般的な広告以上の情報を提供するのであれば、制限を強化するのは当然です。

① 通常必要とされる治療内容
② 標準的な費用
(明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額
(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示す)
③ 治療期間及び回数
④ 主なリスクや副作用

自費診療を行う場合は、先程の2項目に加えて、この4つの項目を明記する必要があります。

今回の広告規制の改正で、一番の「キモ」となる部分でもあります。

クリニックによって、違いがありすぎる自費診療について、患者さんにわかりやすく伝えなさい、ということです。

保険診療中心のクリニックでも、自由診療をしている場合は注意が必要

保険が中心の医科クリニックでも注意が必要です。
例えばワクチンやAGA、美容注射(にんにく注射やプラセンタ)は自費診療になることがほとんどだと思います。
「近隣のクリニックさんに知られたくない」「面倒くさい」と思われるかもしれませんが、ホームページやパンフレットに自費の案内を載せるのであれば、これらの記載は必須です。

もちろん、美容系に力をいれているクリニックさんや、歯科さんは特に注意が必要です。
美容治療はほとんどが自費診療ですし、歯科はホワイトニングや審美治療、インプラントなど自費の内容が多いので、ホームページに記載する際には、適切に情報が掲載されているかチェックする必要があります。

自由診療の広告に、詳細な説明をつけることは、個人的には歓迎

ただ、今回のこの限定解除の考え方、個人的には大賛成です。
保険診療と違い、自費診療はクリニックによって大きく価格が異なります。
また価格の表示についても、コミコミ価格ですというところもあれば、積み上げ式の価格ですというところもあります。
以前受診した別のクリニックさんと同じようにコミコミ価格だと思っていたら、初診料や検査料、手技料、麻酔料が追加されるなど、実際に治療を依頼したら、想定していた金額よりかなり高額になってしまった…ということがあります。

また、患者さんは保険診療で窓口負担が数百円~数千円に慣れてしまっています。
銀色の歯が白くなるだけだし、そんなに高くないでしょう、と思って「お願いします」と言ったのに、窓口でセラミッククラウン15万円です、と聞いたら血の気が引くでしょう。

自費診療については、積極的に料金開示をするべき。
しかも積み上げ式ではなく、このパターンならいくらと総額の料金プランの提示が重要。
値段が高い/安いは、患者さんがどう感じるかだけでしかない。
何より料金が明示されていることが安心につながるという考えで、ホームページの制作を行ってきました。

ですので、今回の医療法改正で、自由診療の場合は、治療内容/料金/一般的な回数・期間/リスクを明示せよ、という考え方は、患者さんの立場にたったよい指針だなと思います。

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