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紙の問診をデジタルの問診に置き換える

問診票をデジタル化すると

そこで問診票もデジタルで運用した方が効率的だと考えるのは当然のことです。近年インターネットの普及が進み、スマートフォンやタブレットの普及も進んだことで、患者がこうした入力端末を持ち歩くようになりました。そこに目を付けたベンダーが「タブレット問診票」や「Web問診票」という新たなシステムを生み出したのです。問診票をデジタル化すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

1.受付スタッフが電子カルテに転記する作業がなくなる

問診システムと電子カルテはデータの連携が可能なので(問診システムベンダーと電子カルテの連携調整が必要)、自動的に電子カルテに転記できることになります。診療所の受付スタッフは、デジタル機器を操作できない一部の患者のみ紙で対応すればよいので、従来の転記作業は大幅に効率化します。

2.問診票は自由入力式から選択式に変わり、抜け漏れがなくなる

問診システムのフォーマットを作成する際に患者の利便性を考えれば、自由入力式よりも選択式の方が良いことはおのずと分かります。例えば「今日の訴えは?」という質問に対して「喉が痛い」「頭が痛い」「熱がある」「鼻水が出る」「たんが絡む」「おなかが痛い」といった選択式にすることで、患者は病状を抜け漏れなく答えることが可能になります。

3.事前に問診票を入力してもらうことで、患者対応がスピードアップする

問診システムを診療所のWebサイトとリンクさせて、患者が事前入力できるようにしておくことで、患者の来院前に病状を把握できます。検査が必要かどうか、注射や点滴が必要かどうか、隔離する必要があるかどうか、といった事前の判断が可能となり、診察フェーズへスムーズに移行できます。来院患者の状態が事前に分かることは大きなメリットです。

4.A4サイズ1枚に収めなければならないという制約がなくなり、より詳細な内容を記載可能になる

紙の問診票は「あまり多くの情報を書いてもらうことを患者に強いるのは心苦しい」という考えと、管理上の問題から、A4用紙1枚に納めるのが一般的でした。問診システムならそのような制限はなくなり、質問を分岐させることも簡単です。スタートは「総合問診票」として、そこから「花粉症用」「頭痛用」「目まい用」「生活習慣病用」といった専門の問診票に分岐し、より深く詳しい情報の取得が可能になります。

5.問診票の内容から受診する診療科や疾患名を類推できるようになる

問診票の内容に対して統計処理をすれば、受診すべき診療科が分かるようになり、疾患もある程度は類推できます。患者にとっても診療所にとっても、受診すべき診療科を間違えるのはお互い避けたいものですので、このメリットを生かせば問診システムの新たな活用シーンとして発展することが予想されます。


このように問診票のデジタル化は、業務効率化の観点だけでなく、患者と医療機関のコミュニケーションチャネルや、診療科ミスマッチの防止など、さまざまな活用シーンが考えられます。今後普及してほしいシステムの1つです。

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