COLUMNコラム
医療法改正が与える医院ホームページへの影響
2017年(平成29年)に医療法改正が行われました。今回の改正は第8次改正です。
第8次改正のポイントは、医療に関する広告規制の強化で、ホームページに大きな影響があります。
もともと医療は人の生命身体に関わる極めて専門性の高いサービスであることから、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難です。そのため、医療広告に関しては、「医療広告ガイドライン」「医療機関ホームページガイドライン」を設けて、一定の規制を行っていました。
医療広告の定義
①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
②クリニック名か、医師の名前が特定できること(特定性)
③一般人が認知できる状態にあること (認知性)
この3つの要件を同時に満たすこととされています。
一つだけでは広告にはあたりませんし、
一つ欠けていても広告にはあたりません。
クリニックや歯科医院のホームページは、
患者さん自身が意思をもって検索し、アクセスしないと見られないことから、
ホームページ自体に誘引性がないため、広告ではないとされてきました。
ホームページが「医療広告」になるとどうなる?
広告でない場合、法律による制限はありません。
そのため、ホームページにうそが書いてあっても、大げさな記述があっても、患者満足度No.1のクリニックです!と言っても容認されてきました。
しかし、今回の第8次医療法改正でホームページは広告であると明記されたため、今後はそういったことがあると、行政指導や罰則が適用されます。
「医療広告」になったのは、ホームページだけじゃない
実は、「広告」として取り扱われるようになったものは、ホームページだけに限りません。
今まで、院内の掲示物や院内で配布するパンフレット/院内報については、広告ではないと解釈されてきました。しかし、今回の医療法改正によって、ホームページと同じように、院内の掲示物や院内で配布するパンフレット/院内報も、医療法の広告として取り扱われるようになりました。
つまり、2017年の第8次医療法改正によって、
▪ クリニックのホームページ
▪ 院内掲示・院内で配布するパンフレット
▪ 患者からの申し出に応じて送るパンフレットやEメール
これらが「広告」として取り扱われることになったので、注意が必要です。
医療法だけでなく、薬機法、景品表示法などに注意が必要です
広告ではないので、これまで関連法律を気にする必要がなかった「ホームページ」や「パンフレット」ですが、広告になったために、関連法律に注意が必要になります。
誇大広告や比較広告と判断される表現があれば、医療法違反。
国内で承認されていない医薬品や医療機器を広告すると、薬機法違反。
根拠のない数字を入れたり、ずっと同じ値段なのに期間限定キャンペーンと書いたりすると、景品表示法違反です。
「知らなかった」「これまではよかった」では済まされませんので、法律で禁止されている公告事項について、きちんと理解しておく必要があります。
この機会に、医院のホームページを見直し、パンフレットや院内掲示物についても、適切な表現がされているかどうかチェックしてみましょう。